ホワイトデーと誕生日
「そうだ・・・えっと、もうプレゼントを先に渡しておくよ。きっと職場にも自分のがあるとは思うけど、まあでもシンプルだし、余分にひとつくらいあってもいいでしょ。お誕生日おめでとう」 「ん?・・・えっ?」 「それと・・ホワイトデーも」 「ええっ?? バレンタイン渡してないわ、私」 「いいよそんなこと」 いつもより早口に、一気にそこまで言うとふたつの包みを差し出し 「おめでとう・・・でも、ホントにたいしたものじゃない」 包みから出てきたのは、マグカップと薔薇をかたどったチョコレート 「職場で使って。もう気に入ったのを使ってるだろうけど」 「・・・ふふふ、ありがとう」 「別に家で使ってくれてもいいけど・・・」 いつもより、妙に口数が多い マグカップを、そっと手に包むとその佇まいは手の中で気配を消すかのようにとても静かで 学会場で、雅治の同期のA先生と雅治、3人で会った時のことを思い出した。 雅治は、A先生がやたら賑やかに私と話すのを傍らで静かに聞いているだけで。あとで「どうして3人の時はあまりしゃべらないの?」と
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