煩悩の数
遠距離恋愛
「逢う日、ね。診察を入れたの」 「診察？」職場はダラダラと感染症の余波が落ち着かず、休みにくい状況が続いていた。また今年度はコロナ罹患や濃厚接触などで有給消化も多くて、複数日の休みがむつかしくて。でも、そんなにかからないはず逢うを予定していた時間くらいには行けるそう思って、いつもよりかなり早めに出たのに渡された受付で番号は108番社会の気配が緩むと、控えていた受診も増えてきてるのかなと思いつつ、つい「制限時間」を逆算し考えてしまう。キュッ、と胸を掴まれるような焦りでも、今ここで私が焦ってもどうしようもない状況は伝えてるそれを不愉快とし、眉間に皺を寄せる人じゃないにしても108番て（苦笑）煩悩の数じゃん採血結果が診察室に来るまでにはだいたい30分。さて、どれくらい予約時間が前後するかな外来も時間の割に人が多く、かといってコーヒーショップで時間を潰す気分でもなくとにかく人が多いというのはあまり好きじゃない自分が医療者側の場合は、そうは思わないんだけど診察室前の椅子に座り手元のタブレットに目を落としたハウツー本ではなく、小説映画の原作本ふたりの女とひとりの男の話それを書き、作品として世に送り出したのは男の娘私の娘は、どう思うのだろう30分は待たなかった私を呼ぶマイクの声にホッとしながら声が切れるのを待って、診察室のドアを開ける &n
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