匂いと気配
ふわっと上がる湯気と、絹のような水しぶき 「ん・・?」 肌から立ちのぼる残り香雅治の匂いがする 「ん?」 思わず、腕に鼻を近づけた違う濡れた肌は、ただ水滴の匂いがするだけ なのに、ふっと、鼻をくすぐるほら、また 私も雅治も香水のような類は好まないせいぜいがシャンプーといったところ。いつもの香り、と決めつけられる香りがあるわけじゃなくかといって、加齢(ゴホ)・・・を感じるようなこともない だから同じ香水をつけている人にふり返るなんてこともないし でも身体から、雅治の匂いがしてる 「ん??」 時折ふっと鼻をくすぐるおそらくこれは嗅覚が覚えての、記憶と交錯した錯覚だろう とうとう、感覚器官までおかしくなってもう末期症状の妄想だ。これ(笑) まあいい、もう。 鼻が覚えているなら帰ってからも隣にいるみたいに思い出せる ベッドルームに戻ると、雅治は起き上がっていて 「あら、まだ休んでいるかと」 「とりあえず身体をちょっと流してくる。あったよ下着。sanaの服の上においてある」&nbs
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