恋に生きて
「話したことがあったかな。大学の先輩の話。僕の知り合いと結婚して・・・そうだ、前に学会でその奥さんのほうには会ってるよ、覚えてない?」 「ああ・・・たしか、御名刺を頂いて」 「そうそう」 「でもその時は旧姓でしたよ。てっきり独身かと」 「ああ・・・じゃあ、ちょうどその頃だったのかな、バタついてた状況にけりがついたのは」 20年以上前からの話だと言いながら、雅治は話し始めた バツイチ同士な二人がある日、出会いその後、意気投合して結婚。 「先輩のほうは子供を連れてた。けど仲良くやってたと思うよ。10年以上夫婦だったんじゃないかな。でも、それがね」 10年くらい前のこと 「だから・・・その当時、先輩は60歳に近いくらいだったと思うけど」 その先輩は、ある大学で教鞭を執っていて 「学生さんと、そこでそういう関係になって、奥さんに別れを切り出した。どうしてもその学生さんと結婚したいって」 「・・・は?」 「学生さんはまだ20歳前。歳の差は僕らどころじゃない。2倍以上か」 「いやちょっと・・・で?」 「奥
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