声

「あー、ハイッ、もしもし!」 「!・・どうした?」 「ん?」 「何かあった?」 「どうして?」 「電話の声がいつもと違うから。何かあったのかと思った」 いつもの電話は、3コールくらいで取って「もしもし」とゆっくり話す ワチャワチャした時間の中でちょっとだけそれも、突然のドタキャンもありの電話だから 話せるときは 最初の「もしもし」はゆっくり喋る ちょっとの電話の時間くらい日常を引きずりたくなくて それが今日は数秒前まで、隣に看護師さんがいたから思わず かかってきた電話の音で、「あ・・・じゃ」と部屋を出ていったんだけど、背中越しにそっちをなんとなく急かしたのが、慌てたような声に聞こえてしまったみたいで 日常を共にしない人はいつもと違うに敏感になる それは、私もそうだけど 「何もないわ。何も。・・・ねえ?あのね、昨日、ワタシ誕生日だったんですけど」 いつもはというか、今までは誕生日の朝に、必ずLINEが来ていて 日曜日でも 私が、雅治の誕生日を忘れて、記憶からもう消そうと決めてLINEの返事もろくにしな
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