あと1時間
ガタンと衝撃がし、車輪が地を捉えた赤い“TOKYO”の文字が光りながら浮かび上がり、羽田空港に着いたことを伝えてくれる 羽田に、いま到着しました じゃ、あと1時間ほどでこちらに着くな LINEのラリーは、弾むような分刻み1時間で横浜に着けるかな・・・急がなくちゃ 3年前の横浜、あの時は日常の重さを少しずつ断捨離してた頃だった 雅治はもう遠く、私はもう会ってはいけない、このままでと存在を葬りかけていた。それでも消しきることができなくて、逢いたいけれど逢いたいなんて言えず、連絡をしたのに距離を取るような気持ちを抱え待ち合わせた。 雅治は、数年間のそれらを全て察知していて探り探り、初めはそっと振る舞い、そうしながら徐々に私の本当を引っぱり出した あと少し 距離や時が消え、もうあと1時間で逢える もう長々と言うことはない じゃ、あと1時間ほどでこちらに着くな ただ、私を待ってる逢いたい、早くおいで断定形のLINEは、そんな風に読み取れた 「カップヌードルの博物館、前から行ってみたくてね。sanaはロープウェイに乗りたいんでしょ」 そんな話を、来る前に話した
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