全部持って行って
「どうしてそんなに冷静に分析して、細かく覚えていられるの」 「忘れたらもったいないじゃない」 必死だから。してる時のことを文字に起こすようにはまさか覚えてないよと言う雅治に、私はそう返す 覚えていようとしなくても、覚えていられる。毛穴の一つ一つが、記憶中枢につながってるのかもね。他の分野にこの能力が使えれば、ねぇ。 分析はさすがにその時にはしてないけど、記憶を文字に落とせば、映像よりもクリアに身体に沁みこむ 抱かれているのはその一瞬、一度じゃない吸い取り紙みたいに身体に沁みつき、記憶は何度も蘇るそうやって、雅治の手の蹟は私に刻み込まれていく と当たり前のように思ってた、けど この時の、ここから(ここはまだ最初だけど)覚えてない 出し惜しみ?・・・じゃなくてホントに 「sana・・・最高だった、もう、本当に」 そう言われ目を開けたそこからの記憶しかない 身体を離すことがない、その傍らで気だるさに抗いながら時の足音を聞く。私すら私の中にいないようなけだるさ。激しい、激しかった気配はあちこちにあるけれど、わからない ベッドの枕元に目をやると、2度目にはいつもかなり神経質になるそれが、使われないまま残っていた&
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