101(8)

フィクションです。 ******** 人にはそれぞれ物語がある。 それはその人にしかわからない物語。 外から見ていては知ることのできないこと。 それでも人にはそれぞれ物語が存在していることを意識することはできる。 ******** 101の彼女のこと。102の彼女の同僚のこと。 204のわけありのおばさまのこと。 202に住んでいていつも鍵の番号がわからなくなる私。 ほかのお部屋の人もみんなそれぞれの物語を生きている。 ******** いつも外で大きな声で電話をしながら タバコを吸っているおじさんのことを怖いと思っている。 だけどきっとおじさんにも事情があるんだ。 いつもヘッドフォンをつけたまま歩いていて 夜遅くまで音楽を聴いているお兄さん。 お部屋から音楽のずんずんという振動が 伝わってきて正直睡眠の妨げになることも。 ヘッドフォンのお兄さんにもきっとそこには理由がある。 もらいもののかぼちゃを申し訳なさそうに「食べますか?」と たまたま会った私にくださったおじいさん。 おじいさんが優しい人でごみ出しのルールを ちゃんと守る人だって私は知っ
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