いつも
このホテルはもう「雅治とのいつも」になりつつあった部屋は毎回違うけれど 遊園地に新しく出来た乗り物を巡るワクワクよりも昔なじみな喫茶店のいつもの席がいいせいぜいが、エスプレッソにするかクリームソーダにするか迷うくらい 四半世紀の恋はそのくらいのたたずまいでいい 立ったままでそっと私を腕におさめながら雅治は、私の気配をはかっているように感じていた 喫茶店のマスターが、今日は少しアメリカンなほうがいいかなと、コーヒー豆をなじみのお客さんの顔を見て変化させるように その気配が、私を静かに癒していく 雅治は、飾りたてるような言葉を吐かない 「僕は口下手だし、sanaの気持ちに気づくのが他の人のように上手じゃない」 そうね、昔はそう思った 何も言わない、何も聞かない、明確な次もないだからどんなに私が遠くで想っても、きっと気づかない、本当は届かない、所詮・・・と 雅治は、素朴な型抜きクッキーのようでそのまま、を呈してくる アイシングクッキーのように飾りたててもその装飾の裏を、私が見ていることを知ってる 飾る言葉の裏に潜め隠した本音を見抜くことも&
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