離れて
遠目、でも雅治はすぐにわかる 見つけた ホッとする 半日ぶりに見たひとは、道端の手すりに背を持たせかけ立っていた。 歩く人の視野には入らないような位置で 何気なく、ただ立っている風を装いながら 人の中に埋もれてしまいそうな私を探すように目が動いている その目にはまだ、私は映っていないようで 「気をつけてないと、人に埋もれてすぐに見失うから」前にそう言ってたのを、思い出す 近寄ると 私をとらえた目は、小さく頷く手すりを離れ、久しぶりに会った知り合いのような距離くらいに近づき 「見る予定のは全部終わった?話もできた?」 「はい。なんとか全部」 「そう」 並んでは歩かない 前後、少し距離を開けて 歩き出す 前から後ろから、学会に来ている人であろうスーツ族とはひっきりなしにすれ違うから 「ロープウェイ、けっこう並んでますね」 「・・・乗る?」 「いいです」 雅治は、くすりと笑う どこをどう迷ったのか、今朝はわからないくらいにスムーズに歩いて
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