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ホテル

遠距離恋愛
駅に近いそこは、新しくできたホテルだった。 「部屋の前に監視カメラがあったの。それに廊下にもいくつもある」 「僕のほうはそんなに気にならなかったけど」 「お客様、宿泊されてない方がいらしてませんかって、コンコンされたらどうしよう」 「それはないよじゃ、やっぱり僕のほうにするかい?」 「・・・うーん、ううん、いい。嫌、大丈夫」 「何それ」   カードキーをかざして、階のボタンを押す。出張で県外に出るとき、選べるならばこのタイプのホテルを選ぶようにしてる。部屋の灯りもこれで灯せたりするから、出入りで忘れないし。  「へぇ、セキュリティしっかりしてる」 「そうなの」  そのセキュリティを、正面突破するんだけど   ピン、と小さな音がしてエレベーターが止まる エレベーターフロアも部屋までの廊下も静かで部屋の中の音は聞こえない。誰かはいるだろうけど 時が流れないような、止まったような空間にホッとする   かすかな音がし、かざしたカードキーに部屋のドアが反応した ドアを開け、ちょっと後ろを振り返り滑り込むように雅治をいざなった   &nb

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