ベトナム料理店にて
遠距離恋愛
「何になさいますか、飲み物」 「僕はね・・えっと・・・ビールじゃなくて」 「そう言えば、前に言ってましたね。何種類かありますよ・・・全制覇します？」 「いやいや、まさかそこまでは」 以前は当たり障りなく「とりあえずビール」だったのが、最近は最初から好みのものを雅治は頼むようになった・・・なあ、なんて そんなことが、ほんのりと嬉しいそんなこと？！って思われるかもしれないけど めったに逢うことがなくて、さらに外でお酒を一緒に飲むような食事も、まあ数年に一度あるかないか。そんな状況だと、小さな一挙手一投足がいちいち新鮮で鮮やかに記憶に残る。 幸せを感じる沸点は低いほうがいい逆に、怒りの沸点は高いほうがいい、日常でも 小さなことを楽しめるから、距離や時間が離れているのも案外悪くないなと思ったりする だから、つい私も 「あ、待って。えっと、やっぱり生ビールじゃなくて」 とベトナムワインを見つけ、それに変更した 「え？ベトナムワイン・・・ベトナムってワイン作るの」 「ねえ、どうなんでしょ、知らなかった」 「僕は、あまり強くないからね」 「ふ
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