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離れても遠くない

遠距離恋愛
雨は止んでいたけれど、吹く風は街路の葉を舞い上げ、季節が戻ったように冷たく吹きすさんだ 「おお、これは昨日より寒いな」 そう言いながらも、車道側に立つ長い足の歩幅は、私に合わせていつの間にかゆっくりになっていた   「来るの早い。びっくりした、慌てたわ」 「うん?だって僕の泊まっているホテル、ほらあそこ」 「え、でも、LINEしてから出てきたの?それでも早い」 「そう?だってそう大した距離じゃない」  歩きながら、雅治は特徴のある外観のホテルを指し示した。ほらねと振り返ると、私の泊まっているところとは大きな通りを挟んでほぼ向かい合わせ。歩道橋を渡れば、信号に引っかかることもない  「普段はもう少し奥のホテルを取るんだけど。今回はちょうど駅の近くが取れた。いつもは学会場まで30分近く歩くんじゃないかな」 「30分も歩くの!」  今までは、二駅くらい離れて宿泊だった。遠くを見るように、歩きながら会話を交わす。そうやって、セレクトしたホテルの近さをなんとなくごまかし合う。 お互いの、言葉裏の本音にお互いに、気づいてないような顔をしてあえて、それぞれが、そのホテルにしたのに。  「近いか?とは思ったけど、うん、ふ

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